【企業様インタビュー】リングロー株式会社~不要なPCやスマートフォンを上智への寄付金に還元~
- 学院・大学の取組み
- 社会・地域連携
「お金」ではなく、「モノ」で寄付できる制度があるのを皆さんはご存知ですか?
上智学院は、2022年度より株式会社買取王国及びリングロー株式会社との業務締結契約を結び、モノを通してSOPHIA 未来募金へ寄付ができる新しい仕組みをスタートしています。
今回は、不要となったPCやスマートフォンを含むIT機器を回収・査定し、「リユース募金」を行っているリングロー株式会社 代表取締役 碇 敏之 様と森啓登 様にインタビューさせていただきました!
――事業内容について教えてください。
碇さん:主にリユースのパソコン、スマートフォン、タブレットなどを全国の販売店にB to B形式で卸すことが当社のメイン事業です。当社の特徴の1つは、PCのサポートも提供している点です。このサポートが多くの販売店で好評を博し、売り上げを伸ばす要因となっています。
――OA機器に特化したリユース事業を展開するきっかけや理由がありましたらお聞かせください。
碇さん:きっかけは24~25年前のことです。当時は、まだリユースの流れが世の中に広く浸透していなかった時期でしたが、私がリユースの商材を扱う企業でアルバイトしていたこともあり、30万円で新品のパソコンを買ったのに中古品の音源編集用パソコンが3万円で買えることを知り、驚きました。この経験から、今後インターネットが伸びていく社会の中でリユース品の需要が高まるのではないかと思い、ビジネスチャンスを見出しました。
日本では、モノが少しでも古くなると使わなくなったり捨ててしまったりする傾向があると思います。私は、それを「もったいない」と感じるので、まだまだ使えるものがたくさんあることを多くの人に知ってもらいたいと思っています。
――御社では主力の中古PCの買取、販売、修理、保守の他、全国各地にある廃校を人々の交流拠点として再生、活用する取組みもされていらっしゃいます。通常であれば廃棄されてしまうものに、新しい価値を生み出し活用されている御社事業の根底にある思いがございましたらお聞かせください。
碇さん:私がよく口にする言葉の一つに、「もったいない」という言葉があります。例えば、古くなったパソコンでもOSシステムを入れ直すことで、まだまだ使える可能性があったり、使われたものにひと手間工夫を加えることで延命することができます。ひと手間を加えるか否かで「もったいない」を軽減できるというのは、私の考え方や行動の源泉です。
学校についても、使われなくなった施設があっても、そこには地域の思い出や思い入れが詰まっています。そのため、小学生や中学生だけでなく、地域の人々がITを学び直す場として活用できるような使い方ができれば「もったいない」を軽減することができると思い、廃校活用を行っています。
――企業としてSDGsに取り組むことでどのような社会を目指しますか?
碇さん:高尚なことをしているつもりはなく、自分たちが「いいな、やりたい!」と思ったことを実践しています。自分たちができることを地道に続けることが、真の持続可能性につながると考えています。一人ひとりが異なる角度からアプローチしても、最終的に向かう方向が同じであればよいと思っています。身近なことから着実に取り組むことこそが大事だと思います。具体的には、弊社では輸送の際に使用する箱をぬいぐるみとして再利用できるものにしたり、お客様から頂いた不要な箱は回収して会社内で再利用したりするようにしています。さらに、古くなった木製パレットを社員が加工して棚にしたりするなど、遊び心を忘れずにできる範囲で様々なことを実践しています。
――箱がぬいぐるみになるのですか!
森さん:はい。「はぐクマ」という名前です。これまで、リングローが販売する中古パソコンをお客様に発送する際、シックで丈夫な専用箱でお届けをしていました。しかし、実際はご購入後その専用箱を廃棄されるお客様も多く、リユースが主軸事業の企業としてこれは課題であると考え「これまでにない、捨てられることのないPC箱へ」という想いから、はぐクマは生まれました。再利用できて無駄のないPCケースとして、愛らしいお子様の相棒として、これからも多くの方にはぐクマを愛用してほしいと思っています。
――寄付として受け入れた部品やPCはどのような流れで処理/再販されますか?
森さん:寄付して頂いたパソコン等は、まず地方の廃校を活用した集学校に輸送します。そして、そこでパソコンの状態を確認する作業やデータの消去を念入りにやります。その後、機能的に使用可能なパソコンは査定し、中古パソコンとして販売します。査定額を決める際には、同時に寄付額も決めることができます。一方で、使用できないパソコンは解体して部品を売ったり、金属資材として金属リサイクル会社に売ったりすることで、ほとんど廃棄物が出ないようにしています。ときには、とても古い型の年代物のパソコンが届くこともありますが、それが作動したりすると、私たちは結構テンションが上がったりしますね!(笑)
――本学とのリユース募金を通じ、本学に期待されることをお聞かせください。
森さん:一番期待したいこととしては、こういった取り組みを先駆けとなって発信してほしいなと心から思っています。始めた段階では、どこまでOA機器等が集まるか半信半疑ではあったのですが、今ちょうど1年くらいが経ちおおよそ100台近く集まっています。それが全国的に広がったり、他の大学でも行われたりすることを望むと同時に、日本全国で循環型社会の実現につながることを期待しています。
――お二人が普段サステナビリティについて心がけていることなどありますでしょうか。
碇さん:家にある家電製品は、無意識レベルで少し修理すれば使えると思って、修理しています。また、オーディオ機器が好きなので、捨てずに保管していて、アンプやスピーカーは再利用して、集会所で音源を流すのに使っています。傘については、社内の置き傘を使うようになり、ここ数年はほぼ傘を買わなくなりました。
森さん:スマートフォンやパソコンなど、次の人も使えるよう、身の回りのものを大切に使うように心がけるようになりました。また、ほとんど新品を購入せず、用途に合わせて中古品を選ぶようにしています。
――今後の御社の取り組みについて、目標や展望がございましたらお聞かせください。
碇さん:To B(卸)で販売店に流通している量は都市部に集中しているため、中山間地域には行き渡っていない状況です。そこで、廃校活用の事業をさらに推進し、全国の地域に広げていきたいと考えています。200~300箇所まで廃校活用を広げ、ハードウェアやサービスの側面でITリテラシーの底上げに貢献することができればと思っています。そして、それを達成したら、コロナ禍で止まっていた海外進出も進めていきたいと考えています。
――学生へのメッセージをお願いいたします。
森さん:上智大学の学生は、SDGsに対する意識が高い人が多い印象を受けます。そのため、是非多くの人に中古品の存在やこの仕組みを広く発信してほしいと思います。そうすることで、SDGsや循環型社会の実現に向けた取り組みを、足元から進めていくことができると感じています。
碇さん:中山間地域や地方創生に興味のある方は、ぜひ私たちと一緒に活動しましょう!社内見学やインターン生の参加は常時受け付けています。イベントや座談会、就職活動の相談も行っているので、興味のある方は是非遊びに来てください。
インタビューにお答えいただき誠にありがとうございました!
学生職員 原田、芦澤