アジアにおける持続可能な開発のための教育(ESD)をめぐる比較国際教育研究
総合人間科学部教育学科 杉村 美紀 教授
- 研究
【研究の概要】
本研究は、上智大学学術研究特別推進費「重点領域研究」採択課題(2021年度~2024年度)として採択されたもので、地球規模課題をめぐる持続可能な開発目標(SDGs)達成に向け展開されている持続可能な開発のための教育(ESD)に焦点をあて、ESDの教育実践及び理論的意義を、ESDの参加型アプローチによる教育実践研究と、ESD活動を支える日本及びアジア地域の制度及び政策の比較研究という2つの観点から明らかにすることを目的とする。研究活動はESDの実践研究、評価モデル研究、比較研究の3つのプロジェクトから成り、実践分析により学際的・学融合型プログラムの質保証とコンピテンシーを軸とした基盤教育の理論的基礎を示すと同時に、国内外の他機関との連携により、アジアの文脈におけるESDモデルを比較検討する。またESDを基とした比較国際教育研究の拠点確立を目指す。ESDがSDGsの展開の中で重要な施策となっている今日、世界の中でも優れたESD実践を展開している日本の現状をふまえるとともに、現行の上智大学の研究体制と総合大学としての強みを活かし、国際的なネットワークと連携した学際的な比較国際教育研究を、海外のステークホルダーを巻き込む形で組織的に展開する。
【将来の発展性】
ESDは、気候変動、生物多様性の喪失、資源の枯渇、貧困の拡大等人類の開発活動に起因する諸問題を自らの問題として主体的に捉え、身近なところから取り組むことで、課題解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動であり、上智大学の建学理念とも合致する「持続可能な社会の創り手を育む教育」である。現在は2030年までを視野にいれた「ESD for 2030 」に継承されており、その理念は現在、ユネスコが準備を進める2050年までを視野に入れた中長期レポート「教育の未来(Futures of Education)」にもつながる。各国や地域では、ユネスコによる「ESD for 2030」実現に向けたロードマップ(2019年)を基にした活動がみられ、日本でも文部科学省による「ESD推進の手引き」の作成・改訂や、2021年学習指導要領実施におけるESDの導入、さらに日本ユネスコ国内委員会によるESDに係るユネスコスクールの新たな活動の方向性の提示など、SDGsのゴール4「教育」に示された目標達成に向けた動きが活発化している。特に日本には、世界に約1万校あるユネスコスクールのうち、1100校余りがあり、学校教育におけるESD活動が活発である。こうした動きを受け、研究成果として、学内的には、2020年から新たに開始された英語による学部課程Sophia Program for Sustainable Futures (SPSF)など学際的・学融合型プログラムの質保証と、コンピテンシーを軸とした基盤教育の理論的基礎を提供すると同時に、学外的には国内外の他機関との連携により、ESDの初等・中等・及び高等教育における実践を比較検討し、ESD研究拠点を確立する。
【研究分担者】
総合人間科学部教育学科 小松 太郎 教授
総合人間科学部教育学科 上野 正道 教授
グローバル教育センター 廣里 恭史 教授
総合人間科学部教育学科 奈須 正裕 教授
総合人間科学部教育学科 Maria Manzon 准教授
総合グローバル学部総合グローバル学科 丸山 英樹 教授
埼玉県立伊奈学園中学校 教諭 総合人間科学部 共同研究員 松倉 紗野香
上智大学日本学術振興会特別研究員 総合人間科学部客員研究員 Huang, Ying-Syuan (Elaine)
総合人間科学研究科・教育学専攻 博士後期課程3年 Nguyen, Thanh Van
Sophia Comparative and Interational Education Research Platform
https://sciep.org
Comparative and International Education Research for Education for Sustainable Development in Asia
https://sciep.org/portfolio/esd-in-asia/