水を反応媒とする有機反応プロセスの開発
理工学部物質生命理工学科 鈴木 教之 教授
- 研究
【研究の概要】
有機化学工業における環境負荷低減のため、水を反応溶媒とするプロセスが注目を集めている。界面活性剤を用いて水中にミセル分散液を生じ、疎水性のミセルコア内で有機反応を進行させる方法が有効であるが、この方法には、ミセル分散系から有機生成物を単離精製する工程で有機溶媒を使用するという欠点がある。そこで我々は、反応中はミセルを形成し、反応終了後はミセルを消失できるような系を設計すれば、水中での反応の実施と、反応後の単離の非有機溶媒化の両方を実現出来ると考えた。そのために温度応答性ポリマーを含むブロックコポリマーを温度応答性ミセルとして用いた。さらにポリマー鎖中に触媒部位を固定化した触媒ポリマーを用いた系でミセルの形成をON-OFFする。これにより反応後に効率よく生成物を回収でき、かつ触媒を再利用できる系を開発できれば、多くの有機反応へ適用可能な汎用性の高い水中有機反応システムの構築を可能にすると期待される。
【研究の発展性】
ミセル形成を温度によってオン−オフ出来ることにより、反応後の混合物から有機物をより効率よく回収できるプロセスの構築に役立つと期待できる。なおかつそのポリマーミセルに、触媒機能を付与することにより水溶液を何回も反応に利用できれば、水を反応媒体とする新しいプロセスの開発につながると期待される。
担当教員
鈴木 教之Suzuki Noriyuki
理工学部物質生命理工学科