米国領の地理的周縁地域に居住してきた先住民族の歴史と現在
グローバル教育センター 水谷 裕佳 教授
- 研究
【研究の概要】
米国領の地理的周縁地域に居住してきた様々な先住民族の歴史的体験や現在の取り組みについて考察することを通じて、地域や国家に関する多角的な理解に取り組んでいます。また、博物館や教育研究機関と先住民族の関係性にまつわる事例を分析し、先住民族との協働のあり方に関して考察を行っています。先住民族に対する思い込みや偏見は未だに強いため、世界の様々な先住民族が一定の主権を有した能動的なアクターとしてすでにグローバル社会を動かす一員となっている事実は、なかなか社会に広まりません。しかし、2022年からの10年間を、国連が「先住民言語の国際の10年」に指定したことからも分かるように、国際社会は先住民族に対する支援を強化しています。そして、2022年7月には、ローマ教皇もカナダを訪問し、寄宿学校における先住民の子供に対する同化政策など、カトリック教会がこれまで先住民族に対して行ってきた対応に対して謝罪しました。先住民族を取り巻く社会情勢は大きな変化を迎えています。私自身は、今後も論文や書籍の出版を通じて、その変化に寄与していく所存です。
【将来の発展性】
先住民族の観点や体験は、先住民の人々によってすでに多くの媒体を介して発信されています。それらの情報を受け取って理解し、先住民の人々と協働できる非先住民の人々の数を増やすことに寄与できる研究を目指しています。
共同研究 ● 米国本土先住民の民族誌資料を用いるソースコミュニティとの協働関係構築に関する研究(2013-2016 年度)https://www.minpaku.ac.jp/sites/default/files/research/activity/publication/periodical/tsushin/pdf/tsushin155-08.pdf
北大アイヌ・先住民研究センター叢書 2 先住民パスクア・ヤキの米国編入 ― 越境と認定 水谷 裕佳著
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