エジプト西部砂漠のオアシス社会における住民の理解と参画を軸とした水・土地資源の持続的利用モデルの構築
外国語学部フランス語学科 岩﨑 えり奈 教授
- 研究
【研究の概要】
エジプト西部砂漠では、科学技術の進展により地下水入手が容易になり、沙漠開発による農地の拡大に伴い灌漑用水量が増大しました。その結果、オアシス集水域下流部の塩類集積が加速しており、排水湖の拡大や一層の塩類化を食い止めることが喫緊の課題になっています。
そこで本研究は当該オアシス地域を対象に、オアシス地域を将来にわたり持続的に管理するため、科学的エビデンスと在来知の融合とその実践により、水と土地の持続的利用に関する新たなオアシスの知を創造し、この新たな知にもとづくオアシスでの塩類集積抑止の包括的方策を構築・提案することを目指しています。
本研究の特色は研究者と住民による文理融合かつ住民参加型の共同研究を行うことにあります。具体的には、(1)水・塩の広域での動態の解明による、塩類集積域の拡大を抑制する技術フレーム開発、(2)農地レベルでの節水灌漑技術や耐塩性作物の栽培技術の実証的研究、(3)水・土地利用の多面的価値と社会的仕組みの実践的研究、(4)水・土地環境に関する情報の共有・可視化のための住民参画型デジタル・プラットフォームの構築を行います。
【将来の発展性】
本研究はエジプトの西部沙漠を対象にしていますが、そこから得られる研究成果・知見は、塩類集積の抑制という乾燥地に共通の課題をかかえたオアシスに応用可能なものです。塩類集積域の拡大を抑制するオアシス閉鎖系全体での水・土地の持続的利用のための総合的な枠組みを構築することによって、将来的に、乾燥地の持続的な水利用に貢献することを目指しています。
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担当教員
岩﨑 えり奈Iwasaki Erina
外国語学部フランス語学科