ドイツにおけるエネルギー転換の社会的背景
外国語学部ドイツ語学科 木村 護郎クリストフ 教授
- 研究
【研究の概要】
ドイツは再生可能エネルギーの拡充とともに脱原発・脱化石燃料をめざす野心的なエネルギー転換(Energiewende)を打ち出しており、日本でエネルギー問題を扱う書籍や記事などでは、必ずといってよいほどドイツに言及される。ただし、その評価は大きく分かれている。脱原発を進めようとする観点からは、ドイツは見習うべき成功例として、一方、原発推進論者からは、真似をしてはならない失敗例としてあげられる。どちらの見方も、それなりの正当性を持つが、部分的な理解にとどまりがちである。ドイツのエネルギー転換を全体として理解するためには、技術や経済、政策だけではなく、社会的背景をも含めて見る必要がある。
本研究では、ドイツのエネルギー転換に関する誤解を解きほぐすとともに、ドイツの動向の社会的背景の一つとして、キリスト教会の役割に注目してきた。教会は、さまざまな立場や意見の対話の場を提供し、議論や考察を積み重ねることをとおして、原発に関する倫理的な観点からの評価を提起してきた。
【将来の発展性】
エネルギー問題を含む環境問題への対処は、どのような社会・世界をめざすのかという価値観や世界観とも関わっている。ドイツの事例をそのような議論につなげていきたい。
担当教員
木村 護郎 クリストフKimura Goro Christoph
外国語学部ドイツ語学科