上智大学のカーボンニュートラルに向けた取り組み 2020年~2023年度
- 学院・大学の取組み
2020年度 上智大学四谷キャンパスで使用する電力に100%再生可能エネルギーを導入(2020年6月1日)
上智大学などを運営する学校法人上智学院(東京都千代田区、理事長:佐久間勤)では、国連の提唱する持続可能な開発目標」(SDGs)実現を目指す取り組みの一環として、2020年6月1日から、上智大学四谷キャンパス(東京都千代田区)で消費する電力について、出光グリーンパワー株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:吉田淳一)が提供する「プレミアムゼロプラン」の使用を開始します。これに伴い、上智大学四谷キャンパス全体で使用する電力量の約95%にあたる年間約2,000万kwhが、再生可能エネルギー100%の電力に切り替わることとなり、CO2の大幅な削減を図ります。
「プレミアムゼロプラン」では、再生可能エネルギー(FIT電気(注)含む)100%の電源構成で、実質的にCO2排出量ゼロの再生可能エネルギー由来の電力を供給します。また、同プランは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す企業等によるイニシアチブ「RE100」への参画要件を満たすものです。出光グリーンパワー株式会社は2010年の事業開始より再生エネルギー電力を中心とした電気小売事業を行っており、東京都が温室効果ガス排出量削減を目指し取り組んでいる「東京都キャップ&トレード制度」の低炭素電力の供給事業者に毎年認定されています。
2021年度 上智大学四谷キャンパス 電気・ガスエネルギーの脱炭素化を達成 (2022年3月17日)
2020年6月1日から、上智大学四谷キャンパス(東京都千代田区)で消費する電力について※1、再生可能エネルギー100%の電力を導入しておりましたが、2022年3月17日から、残る13・14号館及び真田濠グラウンドも再生可能エネルギー100%の電力を導入※2しました。
また、2021年12月1日から上智大学四谷キャンパスで消費する都市ガスについてもカーボンニュートラル都市ガスを導入※3しました。
これに伴い、上智大学四谷キャンパス全体で使用する電力量のすべてにあたる年間約17,000千kwh※4と都市ガス量すべてにあたる年間約910千㎥※4が、CO2を実質的に排出しないエネルギーに切り替わることとなり、キャンパス間のエネルギー使用量約95%を占める四谷キャンパスにおいて、大幅な脱炭素化を図ります。
※1 上智大学四谷キャンパスで使用する電力に100%再生可能エネルギーを導入(2020年6月1日)
※2 国際的なイニシアチブであるRE100基準に沿う。あわせて、目白・聖母キャンパス、秦野キャンパスにも導入しています。
※3 天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で排出する温室効果ガスをCO2量に換算し、森林保全・植林等により吸収したCO2量で相殺した都市ガスを使用しているため、実質的に温室効果ガスを排出していません。あわせて、目白・聖母キャンパスも導入しています
※42020年度の使用実績
2022年度 上智学院(高等教育部門)の環境負荷の状況
1.エネルギー使用量及び温室効果ガス排出量
上智学院の高等教育部門は、主要なキャンパスとして四谷キャンパス、目白聖母キャンパス及び秦野キャンパスがあります。四谷キャンパスは、上智大学すべての学部・研究科の学生が教育を受け、研究活動を行っています。目白聖母キャンパスは、上智大学総合人間科学部看護学科の一部学生が使用しており、秦野キャンパスには上智大学短期大学部が設置されています。
上智大学で使用されるエネルギー※1は、四谷キャンパスが94.2%を占めています。(図1)消費されるエネルギーの種別は、電気が77.1%、都市ガス(LNG※2)が22.8%を占めています。燃料(灯油等)は、主に秦野キャンパスの暖房等に使用されていますが、全体に占める割合は極めて低いです。 (図2)
施設面において、主要キャンパスが排出する温室効果ガスは、エネルギー使用の他、主に上下水道の使用に伴うもの、廃棄物の処理に伴うものがあります。これらの使用に伴う温室効果ガスの排出量を2022年度の使用、廃棄量から試算※3しました。2022年度に排出した温室効果ガス(二酸化炭素換算量)は、13,846トンで、電気の使用に伴う排出量が約73.1%、都市ガス(LNG)の使用に伴う排出量が約23.1%を占めています。(図3)
上智学院では、2020年度から2021年度にかけて主要キャンパスで使用する電気を実質的に再生可能エネルギー100%とする電気に切替えています。また、2021年度に四谷キャンパス及び目白聖母キャンパスの都市ガスはカーボンオフセットLNG※4切替えています。これにより一部の施設※5を除き、電気及び都市ガスの使用に伴う温室効果ガスの排出を実質的に排出量ゼロとすることができ、大幅(約94.9%)に削減できています。
上智学院は、エネルギー使用に伴う二酸化炭素の排出量を大幅に削減しています。その一方で、2022年度のエネルギー使用量は、前年度の使用量を超えております。また、実質的に温室効果ガスを排出しないとするエネルギー源は、将来的なエネルギー・環境価値の上昇等により、結果として価格が上昇することも考えられるため、コストの観点からもハード(照明LED化推進等の設備の高効率化)、ソフト(省エネルギー推進)両面による行動変容は必要と考えられます。
上智学院は、年間のエネルギー使用量の合計が「エネルギー使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)に定める基準以上であるため、エネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある者として省エネ法に基づき特定事業者に指定されており、毎年、使用量、使用量削減に関する計画等を経済産業省(資源エネルギー庁)及び文部科学省に報告しています。また、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、温室効果ガス排出量を毎年環境省に報告し、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)に基づき温室効果ガス排出総量削減義務が課せられています。
※1 2022年度のエネルギー使用量
※2 液化天然ガス
※3 上下水道の試算は東京都C&T制度における排出係数を準用
廃棄物の試算においては、大部分を占める四谷・目白聖母キャンパスを対象としLCIデータベース IDEA Version 2.3を引用(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 IDEAラボ 一般社団法人サステナブル経営推進機構の著作物)
※4ガスの採掘から燃焼に至るまでの工程で発生する温室効果ガスをクレジットで相殺し、自主的な取り組みとして実質的に排出量ゼロとするLNG
※5賃借入居分、学生寮等
2023年度 上智大学全キャンパスで使用する電力の脱炭素化をRE100基準で達成 (2023年11月)
2020年6月1日から、上智大学四谷キャンパス(東京都千代田区)で消費する電力について再生可能エネルギー100%の電力導入※1を皮切りに、順次各キャンパスについても導入を進めておりましたが、残る秦野キャンパスで使用する低圧電力も2023年11月から、再生可能エネルギー100%の電力を導入※2しました。
これにより、上智大学全キャンパスで使用する電力量のすべてにあたる年間約2200万kwhが、CO2を実質的に排出しないエネルギー源に切り替わることとなり、自然エネルギー大学リーグでの目標として掲げた、2030年から40年までにキャンパスで使用する全ての電力を再生可能エネルギー化することを前倒しして達成しました。※3
※1 上智大学四谷キャンパスで使用する電力に100%再生可能エネルギーを導入(2020年6月)
https://www.sophia.ac.jp/jpn/news/PR/press0528renewable-energy.html
※2 国際的なイニシアチブであるRE100基準に準拠します。
※3 2022年度の使用実績になります。
自然エネルギー大学リーグHP https://www.re-u-league.org/about-1/
キャンパス外にある学生寮、管理権限の無い賃貸借部分及び従量・定額電灯を除く。
上智大学 各スコープ毎の温室効果ガス排出量の2023年度推計結果について
これまで、上智大学環境整備グループでは、スコープ1、2の排出量の算定及びインフラに係るスコープ3の推計(主に上下水道・廃棄物)を進めてきました
今回、これを基に公表する財務諸表等から、残るスコープ3(事業活動による部分)の推計を行いました。その結果、全体排出量の約6割をスコープ3が占め、続き約3割がスコープ2、残り1割がスコープ1となりました。
この結果を踏まえて、省・創エネルギーの普及と事業活動に伴う排出量の更なる低減に向けて活かします。また、今後も推計値の精度(カバー率含む)についても、向上を目指します。
<条件>
(1)2022年度の活動量になります。
(2)スコープ1は燃料及び都市ガス使用に伴うものとになります。
省エネ法(温室効果ガス排出量算定・報告制度)から取得・適用しています。
(3)スコープ2は電力使用に伴うものになります。
東京電力エナジーパートナーCO2排出係数(2022年)を取得・適用しています。
(4)スコープ3は主に上流を対象にし、財務諸表等から推計しています。
排出係数は主にグリーンバリューチェーンプラットフォームを使用し、以下を個別に引用しています。
・上下水道は、東京都C&T制度における排出係数を引用
・廃棄物は、四谷・目白聖母キャンパスを対象とし、LCIデータベース IDEA Version 2.3を引用
・交通費は、LCIデータベース IDEA Version 2.3を引用
※IDEAは、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 IDEAラボ一般社団法人サステナブル経営推進機構の著作物です。
(5)現時点では、以下を算定対象外としています。
・エアコンからの冷媒漏出による排出量
・実験に使用した化学物質が大気中に放出される場合の排出量
・学生の通学による排出量
・賃借分を除き、投資を含むすべての活動(下流)に関連する排出量
・キャンパス外にある学生寮、従量・定額電灯契約分”
<謝辞>
本推計にあたっては、国立大学法人東京大学策定のUTokyo Climate Actionを参考にしました。この場を借りてお礼申し上げます。
東京都排出量キャップアンドトレード制度の都からの最新フィードバック(2021年度比較)
上智大学は、都内65か所の教育機関の平均(教育Av)と比較して約43%減、そのうち上位25%の教育機関の平均(教育25)と比較しても約24%減となり、いずれも延床面積あたりのCO2排出量が大きく抑えられた結果となりました。