コンテンツへスキップする
  • トップ
  • 取組み事例
  • サステナブルシーフードイベントを実施しました 第一弾 ~イベント当日編~

サステナブルシーフードイベントを実施しました 第一弾 ~イベント当日編~

  • 12:つくる責任 つかう責任
  • 14:海の豊かさを守ろう
  • 学生職員の取組み

11月7日(木)に、サステナブルシーフードイベント「持続可能な食事を―あなたの健康と海の豊かさのために―」を実施しました。

イベントについて 

本イベントは、上智大学の学食メニューに肉料理が多く、魚料理や環境に配慮した食材を使用したメニューが少ないことを課題に感じた当推進室の学生職員が、食を通して手軽にサステナビリティに貢献できることを上智生に周知したいという思いから考案し、約4カ月の準備期間を経て実現に至りました。当日は、令和のお魚王子として活躍する鈴木香里武(すずきかりぶ)さんをお招きし、30分間のトークショーを開催しました。 また、環境に配慮したブルーシーフードをメインとした料理を提供する飲食サービス「FISH A WEEK 週一魚」のキッチンカーをお呼びし、学生・教職員の方々にもサステナブルなシーフード料理をお楽しみいただきました

鈴木香里武さんによるトークショー

鈴木香里武(すずきかりぶ)氏

幼魚水族館館長・岸壁幼魚採集家・「海あそび塾」塾長・うお座。 幼少期から魚に親しみ、専門家との交流や様々な体験を通して魚の知識を蓄える。学習院大学大学院で観賞魚の癒し効果を研究した後、現在は北里大学大学院にて稚魚の生活史を研究中。研究者として魚や海の魅力について伝える他、環境問題に関して学べる水族館の館長を務めるなど、海の豊かさを守るための活動をマルチに行っている。

総合司会 中嶋未来(なかじま みく)

上智大学外国語学部英語学科3年。 2024年ソフィアンズコンテストグランプリを獲得。

「もっと海を好きになって、海を守ってほしい」 

 今回のトークショーでは、香里武さんが海ゴミや海水温上昇などをはじめとした海洋問題の深刻さについて、魚の魅力や日本の食文化などのお話を交えて楽しくお話しくださいました。特に香里武さんは、一人一人が海洋問題について取り組むために、身近なお魚を通して海について考えることや、実際に海へ足を運んでみることの大切さを伝えてくださいました。

  例えば、近年スーパーに並ぶサンマが値上がりしていることに気づいている方は多いと思います。その原因は、実はサンマの漁獲量の減少だけではなく、日本近海の海水温上昇により、サンマが以前よりも日本から遠く寒い地域に回遊しているため、漁船の燃料費などが上昇していることもあると香里武さんは説明しました。また、深海に住むお魚を捕る「底曳き網漁」では、以前は捕獲できなかったアジが捕獲できるようになりました。それは、海面の温度が暑いため、より低い温度での生活を好むアジが海底に移動しているからです。このように、普段私たちがスーパーで目にするようなお魚の生活範囲にも変化が起こっていることを、ご自身の体験なども踏まえてお話しくださいました。 

また、魚の消費と文化には深い繋がりがあることを説明してくださいました。近年海水温上昇により、北海道付近の寒い地域でブリの漁獲量が増加しています。しかし関東と違い、北海道ではブリを食べる文化が根付いていないため、高値がつかないことが問題になっています。「同じ魚でも、その土地の文化によって魚の価値が変わってしまう」また逆を言えば、「ある魚を食べる文化があることによって、その土地では決まった魚が持続的に消費されていく」と文化が魚の消費行動に与える影響の大きさについて語りました。そのため香里武さんは、より多くの人に*「未利用魚」の存在に気づいてほしいと訴えました。また香里武さんは、未利用魚の一つであり、ご自身が今まで食べた魚の中で最も美味しいと感じた「カゴカキダイ」の写真を見せながら、まだまだ知られざる美味しい魚が多く存在していることを教えてくださいました。 
*未利用魚とは、知名度が低い、漁獲量が安定しない等の理由により、市場にあまり出ない魚のことを指します。

そして、最後に香里武さんは海洋問題を自分事として捉えるために3つのことを意識してほしいと伝えてくださいました。 

①海の生き物を好きになること  
 魚や海の魅力に気づき、海を好きになることが海洋環境を守りたいという気持ちに繋がります。今回のトークショーでも、幼魚の表情など興味深い特徴に触れながら、沢山の魚の魅力を語っていらっしゃいました。 
②実際に海に行くこと 
 海水浴・魚釣り・クルージングなどを通して海の環境に触れることによって、大量の海ゴミや海洋環境の悪化を目にすることが大切です。 
③SDGsの活動を楽しむこと 
 例えばビーチクリーニングをする際に、ゴミの下に隠れている生物を見つけてみるなど、楽しみを見つけることでSDGs達成への活動を継続的に行うことができます。 

このように、普段食べている身近な魚について知ることや海に行くことを通して、海洋環境の変化に気づき楽しみながら環境に優しい行動をする、また現在は捨てられてしまうような魚を積極的に日々の食事に取り入れるような文化を社会全体でつくりあげていくことが、サステナブルな食文化に繋がるとトークショーを締めくくりました。 

FISH A WEEK 週一魚 キッチンカー出店 

イベントでは、トークショーの他にサステナブルシーフードを提供するキッチンカー出店も行いました。今回出店していただいたキッチンカーは、四ツ谷駅から徒歩4分の場所にある飲食サービス 「FISH A WEEK 週一魚」のキッチンカーです。キッコーマン株式会社が設立し、環境に配慮したブルーシーフードをメインとしたお料理を提供しています。多くの栄養素を含む魚料理の他、スパイスを使った減塩ソース、食物繊維を含むもち麦ごはんなど、健康的な料理を提供しています。また、提供する弁当箱やカップなどは、主に紙や竹を使用し、プラスチックゴミの削減にも取り組んでいます。 

FISH A WEEK 週一魚インタビュー記事はこちら 

イベント当日は、学生や教職員など多くの方に来ていただき、10時30分~14時の出店時間に103食のお弁当を売り上げることができました。 

お弁当を購入していただいた方には、本推進室の学生職員が作成したチラシやソフィアンくんマリンバージョンステッカーも配布し、より多くの方にブルーシーフードやFISH A WEEK週一魚の取り組みについて知ってもらいました。 

マリンバージョンのソフィアンくんステッカー(上)配布したチラシ(下) 

学生職員による意識調査 

また、トークショーを聞きに来てくださった方とお弁当を購入してくださった方に、シーフードやサステナブルな料理に関するインタビューを行いました。

Q1.普段魚料理は食べますか? 
  はい  → 51人 
  いいえ → 10人 
 Q2 サステナブルなキッチンカー(ブルーシーフードや環境に優しい素材の使用)や学食のメニューがあったら食べたいですか? 
  はい  →60 人 
  いいえ →4人 

【その他の意見】
・普段魚を食べることがあまりないので、大学で気軽に食べられるのであればとても良いと思う。 
・家では魚を食べるが、外出先では特別好んで選びはしない。ただ、日常を過ごす大学のメニューにあれば選択肢になるし、食べるきっかけになると思う。 
・上智のキッチンカーというと(学生向けなのか)お肉やがっつりしたものが大半なので、こういったヘルシーでかつ魚が食べられるキッチンカーは珍しく、食べられて嬉しい。 
・1日限定なのはもったいないので、もっと来てほしい。

インタビューでは、健康的な魚料理を学食メニューにも取り入れてほしいとの声が多く聞かれました。また、宗教的な事情やアレルギーなどが理由で肉料理よりも魚料理を好む学生が多くいることが分かりました。環境保護への関心が高い学生からは、今回のような一度限りの出店だけでなく、サステナブルフードを提供するキッチンカーの定期的な出店や学食メニューへの導入を期待しているとの声もあり、上智大学でのサステナブルフードへの需要の高さを再確認することができました。今後も、上智大学全体で食の選択肢を増やすことによるSDGs推進に取り組んでいきたいと思います。

そして、イベント終了後には、香里武さん、司会の中嶋さんと当室のメンバーで交流会を行いました。交流会では、FISH A WEEKのお弁当を食べながら、トークショーでは聞けなかった香里武さんのご経験や想い、海や魚の魅力をお聞きしました。そちらの様子は第2弾として後日掲載しますので、そちらもぜひチェックしてくださいね。