ダイアログ・イン・ザ・ダークを体験してきました
ダイバーシティ・サステナビリティ推進室の学生職員と職員は、研修の一環として、東京の竹芝にある“ダイアログ・ミュージアム「対話の森」”において「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を体験してきました。

<ダイアログ・イン・ザ・ダークとは>
ダイアログ・イン・ザ・ダークとは、視覚障害者の案内により、完全に光を遮断した“‘純度100%の暗闇‘の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメント”です。これまで世界47カ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験。 日本でも各地でオリジナルイベントが開催されています。
3/1~6/8までは能登応援企画として、『能登への春の旅』を開催しています。 『能登への春の旅』では、暗闇の中で、能登の名所を巡る旅を体験します。グループメンバーとともに、森を抜け、電車に乗り、海の匂いや楽器の音から能登の美しさを感じる体験ができます。
<研修の目的>
ダイバーシティ・サステナビリティ推進室の活動をするうえで、さまざまな立場や角度から物事をとらえる視点を持つことは不可欠です。この研修では、視覚以外の感覚を用いて行動することで、私たちが普段どれほど視覚に頼っているのか自覚することができます。また、案内役の視覚障害者の方との交流により、視覚の不自由な方が真に必要としているサポートについて理解を深めることも考えられます。暗闇の中を進むためにはグループメンバーとのコミュニケーションも欠かせず、連帯感や絆が育まれます。
<実際の体験内容>
始めに、薄明かりの部屋で視覚障害のあるガイドさんから白杖の使い方のレクチャーを受けた後、私たちはガイドさんに続いて暗闇に入り木々の中を歩きました。「置いて行かれるのではないか」、「周りにぶつかってしまうのではないか」という不安が頭をよぎりましたが、周りの人と声を掛け合うことで自分や周りの状況を知ることができました。
その後、周囲の人の声を頼りに円を作り、地面でボールを転がしてキャッチボールをしました。キャッチボールは受け取る相手に声を出してもらい、その方向に向かって転がすという方法で行いました。明後日の方向に転がっていくと思いきや、しっかりと相手にボールが届いたことに驚くとともに、だんだんと視覚が封じられた不安感が取り除かれていきました。

続いて、完全な暗闇の中で電車に乗りこむ体験もしました。もちろん困難なことが多くありました。点字ブロックは意外にも白杖では認識しづらく、足で踏んで初めて存在が確認できました。そのため、いつ駅のホームから電車に乗ったのか気がつかなかったという声が多く上がりました。また、グループメンバーの多くがロングシートの電車に乗ることを想定していたのに対して、実際に停まっていた電車は対面式のボックスシートであったため無意識の思い込みに衝撃を受けました。
電車を降りた後、建物の縁側に座って能登の伝統芸能である太鼓の演奏を聴きました。何人がどんな衣装で演奏しているのか想像したり、振動で音楽を味わったりと普段とは異なる方法で音楽を楽しむことができました。 その後、暗闇の中で能登特有の飲み物や食べ物を購入し、触覚、味覚、嗅覚を駆使して味わいました。どのような色や見た目をしているのか思いを馳せながらする食事はとても新鮮で他では味わえない体験になりました。
能登の旅から眩しい東京に戻る際にはもう少し暗闇の中で体験を重ねたいと思えるほど貴重で充実した時間でした。 最後にアンケートに記入する際に使用した机も複数人が協力しないと机として機能しない設計となっていて、他者との交流、対話について最後まで考えることができる場でした。


<学生職員の声>
視覚は私たちが生活の中で多くの情報を受け取る手段の1つです。しかし、今回真っ暗闇の中での旅を体験することで、視覚以外の感覚を使って人と繋がることの楽しさ、普段自分たちが見た目や固定概念にいかに影響を受けているのかを実感するなど、多くの学びと気づきを得ました。また、多くの職員から時間の感覚を忘れるような体験だったという声が上がりました。時計やスマートフォンなどから一旦離れ、視覚以外のすべての感覚を使うことで、その瞬間を楽しむことができました。暗闇での対話により築いた絆や、困難に直面することで得た気づきを今後の活動に生かしていきたいです。
「能登への春の旅」コンセプト
開催期間 3月1日(土)~6月8日(日)
開催場所 ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」
東京都港区海岸一丁目10番45号シアター棟1F
体験時間 90分