上智大学国連Weeks October, 2014 実施報告
10月20日から25日まで、国連広報センターの後援で「上智大学国連Weeks October, 2014」が開催され、4つの行事が行われました。
6月に続いて2回目の開催となった今回は、国連が定めた「世界国連デー」(10月24日)に合わせて実施。国連と大学が提携する「国連アカデミック・インパクト」参加校として、同記念日を盛り上げました。
期間中、本学は新たに国連開発計画(UNDP)及び国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と教育連携協定を締結し、国連との協力を更に深めることとなりました。
■国連写真展
10月20日から25日まで、2号館エントランスロビーにて、国連の活動を「人」に焦点を当てて紹介する写真展「We the Peoples」(われら人間は)を開催しました。
国連から借り受けた写真約60点の中から47点を展示し、学生たちが国連のさまざまな活動を知る機会となりました。潘基文国連事務総長からは「皆様がこれらの写真から刺激を受けて行動を起こし、すべての人のためにより良い世界を構築しようという国連の活動を支援してくれることを望んでいます」とのメッセージが寄せられました。
20日のオープニングセレモニーでは、早下隆士学長が開会挨拶。国連広報センター所長の根本かおる氏、外務省総合外交政策局国連企画調整課首席事務官の水野光明氏、写真映像経営者協会専務理事の大内まち子氏がそれぞれ祝辞を述べた後、テープカットを行いました。
■UNDP講演会「国際社会が取り組むべき地球規模の開発課題と国連システム」
10月21日に、国連事務次長補兼UNDP対外関係・アドボカシー局長のマイケル・オニール氏の講演会「国際社会が取り組むべき地球規模の開発課題と、国連システム」が開催され、高校生と大学生約100人が参加しました。
カタール、南アフガニスタンなど、世界各地での勤務経験を持つオニール氏は、世界中から職員が集う多様な環境下での業務にやりがいを感じていると話したほか、ニューヨーク本部で働く本学卒業生の職員についても紹介しました。
オニール氏はUNDPが各国政府や関連諸機関と連携して取組むプロジェクトについて説明しました。続いて、貧困の撲滅、税制度や法整備を通じたガバナンスの強化、紛争地域や国家間の対立を解決するための政策立案など、民主主義の実現をサポートする取組みなどを実例を交えて解説。そして、「世界が直面する課題に目を向けて、自分が何ができるかを考えてほしい」と参加者に語りかけました。
最後の質疑応答では、UNDP駐日代表の近藤哲生氏、UNDP対外関係・アドボカシー局特別顧問の河野毅氏も参加。スーダンや北朝鮮への人道支援の在り方など、多くの質問が寄せられ、活発な議論が行われました。
■公開授業「国連と紛争解決『アフリカの開発と課題』」
10月22日、総合グローバル学部の植木安弘教授は、UNDPアフリカ局アフリカ開発会議室長の小松原茂樹氏を講師に迎え、公開授業「国連と紛争解決」を実施しまし。本学全学生を対象として行われ、学部と大学院合わせて15の学科・専攻から学生が参加しました。
「アフリカの開発と課題」と題した講演で小松原氏は、この約20年の間にアフリカが貧困撲滅のためにどのような取り組みを行ってきたのか、その成果を統計を用いて解説しました。さらに、未だ現地に山積する課題についても説明を行いました。質疑応答では学生たちが続々と挙手し、小松原氏は一つひとつの質問に対し経験談を交えながら丁寧に応じていました。
最後に小松原氏は学生に向けて、「国連では世界中から職員が集い議論します。世界中の諸問題に対応するため、合意形成や問題解決には手間も時間もかかり、精神力も体力も必要です。時には危険も伴います。それでも、相手が変わり、自分も変わる中で一緒に出来ることがある。大変なことがあっても仲間と共に達成できることがあり、世界に貢献出来ることがやりがいです」とメッセージを送りました。
■国際シンポジウム「国連の使命と取り組み、若者への期待」
10月23日、国連の3つの機関の日本代表者を招いて国際シンポジウム「国連の使命と取り組み、若者への期待」が開催され、高校生を含む130人が出席しました。
国連世界食糧計画(WFP)のスティーブン・アンダーソン氏、UNDPの近藤哲生氏、UNHCRのマイケル・リンデンバウアー氏が登壇し、早下隆士学長の挨拶に続いて、各団体の活動や直面する課題についてスライド等を使って紹介しました。続いて、植木安弘総合グローバル学部教授の司会で、質疑応答が行われました。
近藤氏は外務省から出向中にアフガニスタン等の復興に関わり、これを生涯の仕事にしたいとUNDPに転職したと国連で働くきっかけを紹介しました。
討論を通じて直面する課題も浮き彫りになりました。UNHCRは、中東の難民危機についてシリア内戦の終結見通しが立たないために出口戦略が描けないと現状を紹介し、WFPのアンダーソン氏は活動資金集めが「大仕事」になってしまっていると語りました。学生から、日本で大量に廃棄される食料を飢餓対策に使えないかとの質問があり、リンデンバウアー氏は、アパレル企業と協力し古着を回収し難民に届けている事例を紹介し、世界の難題解決には若者の創造的なアプローチが必要だと語りました。