セルロースなど天然資源を活用した材料開発に関する研究
理工学部物質生命理工学科 藤田 正博 教授
- 研究
【研究の概要】
セルロースを室温で溶解する高極性セルロース溶剤の開発を行ってきた。水酸化ピロリジニウム水溶液が、世界最高水準となる20 wt%以上のセルロース溶解性を示すことを見出した。この水酸化ピロリジニウム水溶液を用いて、成長速度の速い竹からセルロースを効率的に抽出するプロセス開発に取り組んでいる。さらに、セルロースからなるヒドロゲルの簡便な作製技術の開発にも取り組んでいる。水酸化ピロリジニウムを含むヒドロゲルは抗菌性を示すことを明らかにした。水酸化ピロリジニウム水溶液中において、セルロース誘導体の合成も行っている。セルロースの水酸基に種々の官能基を短時間で導入することができ、水酸化ピロリジニウム水溶液は従来系よりも優れた反応溶媒となることがわかった。
【将来の発展性】
セルロースヒドロゲルの機械的強度や抗菌性を制御できれば、創傷被覆材などバイオマテリアルとして応用できる。さらに、セルロースの水酸基を種々の官能基で置換できれば機能性材料として応用でき、現在は蓄電池用部材への応用を検討している。ここで紹介した応用例以外にも、セルロースを活用する手段は多々あり、その発展性は計り知れない。植物は大気中の二酸化炭素を吸収し、成長するため、セルロースはカーボンニュートラルな材料といえる。非可食性バイオマスからセルロースを効率的に抽出し、有効に活用することができれば、循環型社会の構築に貢献できると期待される。
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 高分子科学グループ(通称:高分子研)http://www.mls.sophia.ac.jp/~polymer/
担当教員
藤田 正博Fujita Masahiro
理工学部物質生命理工学科