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エスピノサ国連総会議長が来校し学生や教員と対話

  • 16:平和と公正をすべての人に
  • 国連

2018年9月から始まった第73回国連総会において、国連総会議長を務めるマリア・フェルナンダ・エスピノサ・ガルセス氏(以下エスピノサ議長)が、国連総会議長就任を前に日本に数日滞在し、本学も訪問しました。安倍晋三総理大臣や河野太郎外務大臣との会談の後、8月31日の午後に本学を訪れたエスピノサ議長は、「どう国連を強化するか-女性と平和・安全保障」と題して、本学学生や教員たちに講演を行いました。その後、学生や教員との質疑応答もあり、あわせて約1時間半にわたり、熱い議論が繰り広げられました。

東教授のエスコートで登場したエスピノサ議長

2018年9月から1年にわたって国連総会議長を務めるエスピノサ議長は、これまでエクアドルの外務大臣、国防大臣、エクアドル国連大使などを歴任し、今年6月に行われた国連総会での投票で、国連総会議長に選ばれました。女性としては4人目の国連総会議長で、中南米出身の女性としては初めての快挙でした。

またエスピノサ議長は、米国の大学で、環境地理学を専攻して博士号を取得し、多くの学問的な論文を発表しています。さらに詩人としても5つの詩集を発表し、詩人として国民栄誉賞を受賞した方でもあります。

国際関係研究所に登場したエスピノサ議長を、司会の東大作教授をはじめ、会場を埋め尽くした教員や学生が拍手で迎えました。
その後、杉村美紀グローバル化推進担当副学長が冒頭の挨拶を行い、続いて、本学国際関係研究所の安野正士所長が、歓迎の言葉を述べました。

第73回国連総会議長に就任したエスピノサ議長

エスピノサ議長は、女性と紛争の問題について、「これまで女性は、一方的に紛争における被害者だった。これからは、紛争を解決する役割も女性が担えるようになることが極めて重要である」と力説しました。「平和が損なわれてしまえば、経済的な発展も望めなくなってしまう」とし、平和が持続的発展にとって不可欠であるとした上で、エスピノサ議長は、和平プロセスや和平交渉が成功するためには、包摂的(Inclusive)な方法が極めて重要であり、人類の半分を占める女性の参加が、和平交渉においても、その後の復興においても不可欠であると主張しました。エスピノサ議長は、実際に女性が参加した場合、和平交渉が成功する確率が高まるという研究データーも紹介しつつ、女性の参加が平和作りにとって重要である旨を述べました。

東教授とエスピノサ議長

その一方、紛争の和平調停者(Mediator) のまだわずか2%が女性であるとして、今後、女性の和平調停者を増やしていくことについて、国連総会議長として積極的に努力していきたいと述べました。また自らエクアドルの国防大臣の時にも女性が軍において同等の権利を得るように、ルールの改正なども含めて努力したことなどを紹介しました。そして「女性が平和作りに参加することについて、まだまだ課題や試練も多いが、女性がこれからの和平交渉や持続的な平和作りに積極的に参加できるよう、総会議長として最善を尽くしたい。そのためには、国連加盟国やアカデミック、NGOなど幅広い人たちとの協力が不可欠であり、上智大学のようなグローバルな大学ともこれからさらに連携していきたい」と期待を述べました。

会場からは質問が相次ぐ

質疑応答の最初、コメンテーターも務めた東教授が、「国連アフガン支援ミッション(UNAMA)の和解再統合チームリーダーとして、アフガンの和平プロセスにも関わったが、女性の権利の保護のために、タリバンとの交渉において女性の参加が不可欠な一方で、アフガンの多くの男性に、女性は家を守るもの、という非常に根強い考え方があり、外部者が女性の参加を押し付けると反発されるリスクがある。そのあたりをどう考えるか」と質問しました。これに対してエスピノサ議長は、「外部からの押し付けは確かに成功しない。だから内部からその考え方が変わっていくように、粘り強く国際社会全体として努力することが非常に大切である」と答えました。

エスピノサ議長を囲んで

その後、会場から、国連安全保障理事会の改革問題や、現在の米政権の関税問題、北朝鮮の核問題、エスピノサ議長の専門の一つである少数民族の保護の問題など、数多くの質問が出され、そのひとつひとつに、エスピノサ議長はメモをとり、丁寧に答えてくれました。

議論終了後、エスピノサ議長に花束や記念品が贈呈されました。また本学のメモリアルブックにメッセージとサインを書いた後、参加者全員と一緒に記念撮影が行われました。会場が拍手で包まれる中、ニューヨークに戻るべく、エスピノサ議長は本学をあとにしました。

エスピノサ議長のツイッター投稿より

後日、エスピノサ議長は自らのツイッターに、本学への訪問について写真入りでメッセージを掲載してくださいました。

(このセミナーは、本学国際関係研究所および人間の安全保障研究所、外務省が共催しました。)