奄美大島・佐渡での研究調査 地球環境研究所
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学校法人上智学院と日本航空株式会社(JAL)は、教養豊かな人材の育成や未来の豊かな社会創りを目指し、2022年1月に連携協定を締結しました。それに基づき、上智大学とJALは奄美群島をフィールドとして、「環境保全」と「観光促進による地域活性化」の両立を目指した共同研究を実施しており、地球環境研究所の所員も中心メンバーとして参加しています。
奄美大島は、その豊かな生物多様性が評価され、徳之島、沖縄島北部、西表島とともに、2021年にユネスコの世界自然遺産に登録されました。一方で、奄美群島国立公園が「環境文化型」という考え方に基づいて管理されているように、奄美大島には自然との共生の中で培われた豊かな伝統文化が残っています。しかし、過疎化や高齢化により、その維持が困難になっている集落も少なくありません。そこで、世界遺産登録を契機として、観光による地域活性化が期待されていますが、そこで求められるのは、環境や地域コミュニティに負荷をかける従来のマスツーリズムではなく、自然を守りつつ、地域の社会経済の発展や伝統文化の維持に貢献する新しい観光です。そのような観光の実現を目的として、奄美大島西南部の宇検村で実証研究を行っています。これまでに、住民を対象とした観光や地域活性化に関する意識調査、水質等の状況を把握するための環境調査、役場職員向けのSDGs ワークショップ、他の世界自然遺産地域との連携推進などの取り組みを行いました。今後はさらに研究を重ねて、「環境保全」と「観光促進による地域活性化」を両立させる「奄美モデル」を構築し、他の地域にも発信していくことを目指しています。
もう一つの取り組みとして佐渡での調査を紹介します。昨年度、上智大学は佐渡市と包括連携協定を締結しました。この協定に基づいて、環境省が指定した重要な湿地である佐渡の加茂湖を中心に地形測量、水質の時間・空間変動の観測、動・植物プランクトン調査、湖畔景観調査、水害時の避難ルート評価とエネルギー供給の仕組みの模索といった環境調査を実施しています。また院生の環境研修として、トキのための農業、トキのための川づくり、海岸のマネジメントなどの研修や島民の環境保全意識の調査を行いました。
研究所ではこれらの研究調査を教育に還元する場を積極的に設けています。今年度は4件の中学校の受け入れを行い、環境意識向上に貢献していきます。