記憶の脳内メカニズムに関する生理心理学的研究
総合人間科学部心理学科 岡田 隆 教授
- 研究
【研究の概要】
本研究室では、脳の記憶痕跡の座として重要視されてきた部位の一つである海馬に着目し、神経伝達の長期的な増強を調節しうる因子とそのメカニズムを明らかにするとともに、記憶課題成績の日内変動メカニズムについて調べてきた。
齧歯類動物の脳スライス標本を用いた神経生理学的測定と動物の行動解析により、(1) 海馬CA1長期増強がアセチルコリン受容体の活性化によって促進される現象にKv7/M型カリウムイオンチャネルが関与していること、(2) 松果体ホルモン・メラトニンは海馬CA1領域の長期増強を抑制し、その抑制には一酸化窒素の反応系が関与していること、(3) 空間課題成績にみられる日内変動にメラトニンの脳内レベルが密接に関わっていることなどを示した。
【将来の発展性】
記憶の生理心理学的基盤を解明することは、人間の適応行動に重要な精神機能に関する理解を促進するとともに、記憶障害をもつ人々に対する適切な支援につながると考えている。
- Stratum oriens stimulation-evoked modulation of hippocampal long-term potentiation involves the activation of muscarinic acetylcholine receptors and the inhibition of Kv7/M potassium ion channels
- Involvement of the nitric oxide cascade in melatonin-induced inhibition of long-term potentiation at hippocampal CA1 synapses
- The diurnal variation of performance of the novel location recognition task in male rats
担当教員
岡田 隆Takashi OKADA
総合人間科学部心理学科