哲学的対話教育に関する研究
文学部哲学科 寺田 俊郎 教授
- 研究
【研究の概要】
世界規模の(グローバルな)課題を解決していくためには政治的な熟議が必要である。特定の党派の政策のみを押し通そうとする政治的な討論だけでなく、課題に即して人類と地球にとって最善の選択肢を探求するような熟議である。それを可能にするのは対話の「構え」である。対話とは、互いの意見を尊重しつつ、その意見を吟味し、共に考えることによって、よりよい意見を形成していくことである。この対話の技法と作法が身についていない人は、日本にもまだまだ多い。日本だけではなく、世界がそのような技法と作法、つまり「構え」を必要としている。その対話の「構え」を養うのに最も優れた方法は哲学的対話である。哲学的対話とは、我々は生きるうえで本当に大切なことについてまだよく知らないということを認めた上で、それを共同で探求していくことである。たとえば、幸福、正義、愛、自由、平和、人権など。誰も最終的な答えを知らない問いを共に考える哲学的対話は、政治的熟議に必要とされる対話の「構え」を養うのに最適なのである。
【将来の発展性】
哲学的対話を導入する小・中・高等学校は次第に増えている。また、哲学的対話を導入する企業も出はじめている。哲学的対話の進行ができる人(ファシリテータ)の養成が望まれる。
担当教員
寺田 俊郎Terada Toshiro
文学部哲学科