サステナブルシーフードイベントを実施しました 第2弾~交流会編~
- 学生職員の取組み
第1弾でご紹介した、サステナブルシーフードイベントの終了後、トークショーに登壇してくださった鈴木香里武さん、司会の中嶋未来さん、そしてダイバーシティ・サステナビリティ推進室の専任職員および学生職員で交流会を行いました。交流会では、イベント当日にお呼びしたキッチンカー「FISH A WEEK週一魚」のお弁当を食べながら、トークショーでは聞けなかった香里武さんのお話をお聞きしました。
香里武さんは、現在幼魚水族館の館長を務めていらっしゃいます。幼魚水族館で展示している幼魚たちは、香里武さんをはじめ水族館に関わる方々の手で採集されています。採集は水族館の近くにある漁港の岸壁で行われるそうで、とても小さい幼魚たちを採集するため長時間漁港に這いつくばって行うそうです。香里武さんが採集する中で気づく、海と魚の魅力や発見について語ってくださいました。
―30年経ってもまだ新しいお魚に出会える
幼魚採集は、同じ漁港の岸壁で行っていても毎回新たに出会う魚がいることが魅力の一つだといいます。自分の手に届く範囲で行っているのにも関わらず、数えきれないほど多くの種類の幼魚に出会えるそうで、幼少期より魚に親しんで30年以上になる香里武さんでも、まだまだ新しい魚を捕まえることがあるそうです。
また海によって出会える魚が大きく違うことも、幼魚採集の虜になっている理由だそう。例えば、日本海側の漁港と太平洋側の漁港では見られる魚の種類が異なり、太平洋側の方が多様な種類が見られます。特に、関東地方の漁港ではそこで生まれ育つ魚に加え、沖縄の方からも深海からも魚が入り混じるので、実に多くの魚が集まる環境だと仰っていました。都会に住んでいると、普段の生活では海洋環境についてあまり意識することはないと思います。しかし、実は日本近海だけでも想像を遥かに超える種類・数の魚が生息していて、海の豊かさを感じられることを教えてくださいました。
都会に住んでいると、普段の生活では海洋環境についてあまり意識することはないと思います。しかし、実は日本近海だけでも想像を遥かに超える種類・数の魚が生息していて、海の豊かさを感じられることを教えてくださいました。
―お刺身には塩も合う!?
続いて、お話はお魚料理に関することに。特にお刺身を食べるときは、塩を付けて食べることが香里武さんのこだわりだそうです。醤油は赤身の魚にとてもよく合いますが、味が濃いため白身魚だと醤油の味が勝ってしまうことがあるため、魚本来の旨味や味の違いを感じるために塩を付けるのだといいます。
これに気づいたのは、香里武さんが小学生~中学生頃だったそうで、「醤油以外にも魚を楽しめる調味料がないかと思い、試しに塩で食べてみたら魚の味がしっかりと感じられて美味しかった。それ以来、塩で食べるようになった。」とお話しになっていました。
魚によっても塩の種類を変えており、今では80種類にも上る塩を持ち歩いているそうです。全国各地で売っている塩をお刺身に付けては美味しい組み合わせを見つけることを楽しんでいるとのことですが、一番のおすすめはその魚が採れた海の塩を付けること。やはり育った環境のものが一番合う、とのことでした。また、イワシやサンマなどはそのものの味が濃いため、何もつけずに食べるのがおすすめだそうで、その魚本来の味が楽しめる食べ方を研究しながら日々食しているとお話ししてくださいました。
(外出先でも魚の味が楽しめるように小分けにして持ち歩いている)
―幅広く楽しんで食べることが、サステナビリティに繋がる
海の豊かさを間近で見て、食べることも楽しんでいる香里武さんの想いは、みんなに魚を楽しんで幅広く食べてもらいたいというものです。トークショーでもお話しになっていましたが、知名度が低い、漁獲量が安定しない等の理由により、捨てられる魚や市場に出回らない魚(未利用魚)が多くあります。そうした魚を、それぞれに合った方法で美味しく食べられるようになれば、私たちはより多くの種類の魚を食べることができるようになります。ある限定された種ばかりを獲るのではなく、多様な種類の魚を適度な量だけ獲って食べることで、現在問題となっている漁獲量の減少や種の絶滅の危機を回避することができ、サステナブルな魚食へと繋がります。また、海洋資源を利用することについては、適度な量の魚を獲る分には生態系が大きく崩れることはなく、人がともに生活していけるくらいの包容力を海は持ち合わせているだろう、とお話しされました。
現在では、寿司チェーン店でも未利用魚を提供しているところがあるそうで、香里武さんご自身のように食べ方を工夫してみたり未利用魚を扱う店に行ってみたりして、魚を食べることを楽しんでほしいと語ってくださいました。
最後に―学生職員のひとこと
幼魚採集やお刺身は塩で食べるなど、私たちにとっては新鮮に感じられるお話が沢山あり、香里武さんの見る海の豊かさと魅力を感じることのできた交流会となりました。私自身一人暮らしで魚を食べることにハードルを感じていましたが、香里武さんのお話を聞いて魚食に対する捉え方が変わり、もっと楽しんで食べてみたいと思うようになりました。おそらく、上智大学の学生の中には私のように魚食に対して難しさを感じる人も多くいるのではないでしょうか。そういった人たちも魚食を気軽に楽しめるように、キャンパスにおける食の選択肢を増やしていきたいと強く思いました。(学生職員: 橋野)