粘菌由来の植物寄生性線虫忌避剤を中核とした線虫忌避システムによる新しい土壌健全化技術
理工学部物質生命理工学科 齊藤 玉緒 教授
- 研究
【研究の概要】
細胞性粘菌は土壌に住む微生物です。土壌には様々な微生物がいて盛んに化学物質による生物間コミュニケーションをしています。以前から細胞性粘菌と線虫は住む場所が同じ土壌で、自活性線虫については餌を共有していることから、緊密な関係があると予想されていました。私たちは細胞性粘菌が植物寄生性線虫を特異的に忌避させるという現象を発見しました。これは細胞性粘菌が植物寄生性線虫を忌避させる化学物質を分泌しているためであることから、この忌避させる力を使って難防除害虫である植物寄生性線虫から作物を守る方法を見つけことができれば、環境負荷の少ない防除法を作り出すことができると考えています。
【将来の発展性】
線虫忌避システムを中核とした土壌健全化技術を開発したいと考えています。現行では農薬により土壌中の線虫を滅殺していますが、残存した線虫の爆発的増殖による被害の甚大化を繰り返しています。そこで、作物への線虫感染を継続的に抑制することによって、絶対寄生性の線虫を徐々に低密度化し、農薬の使用を抑えつつ土壌の健全化を図る技術を開発したいと考えています。
http://www.mls.sophia.ac.jp/~dicty/index.html
https://www.sophia.ac.jp/jpn/news/research
担当教員
齊藤 玉緒Saito Tamao
理工学部物質生命理工学科