インパクト投資とSDGs
大学付 特任教授 引間 雅史 (学校法人上智学院 理事)
- 研究
【研究の概要】
世界のESG投資資産残高は順調に拡大しているが、その手法別内訳をみると「インテグレーション」「ネガティブ・スクリーニング」「アクティブ・オーナーシップ」が大きな割合を占めているのに対して「インパクト投資」や「サステナビリティ・テーマ運用」は圧倒的に小さな割合に留まっている。
特にインパクト投資は従来私募資産投資が中心であったことから機関投資家の投資対象になりにくかったことも規模拡大の障害になっていた。一方でSDGsの目標達成のためには社会課題解決型事業への直接的な投資であるインパクト投資への資金循環をより太いものにすることが必須と考えられる。さらにインパクト投資を特徴づける「社会課題解決への明確な意図」「社会的インパクトの計測・可視化・付加性分析」「投資リターン考慮」はSDGs目標達成に向けてのマイルストーン管理やPDCAサイクルの実践と極めて親和性が高い。SDGsを契機に社会的インパクトの計測・評価に対する関心が企業側と投資家側の両方で高まっており、それが企業のSDGsへの取組をさらに加速させる、といった好循環の実現が求められている。
【将来の発展性】
インパクト投資対象の上場証券への拡大と機関投資家の本格参入によりインパクト投資のメインストリーム化が進展。それによりSDGs目標達成に向けての必要な資金の流れが飛躍的に増加することが期待される。
上智大学の資産運用 ~PRI・ESG投資に基づく新たな資産運用ガバナンス~(941.70 KB)(941.70 KB)
担当教員
引間 雅史Masafumi Hikima
上智大学